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人力、宇多田ヒカル

『人力、宇多田ヒカル』

昨年末からアーティスト活動を休止し、人間活動に打ち込んでいる宇多田ヒカル。

当然、新曲のリリースは無い。

ファンにとっては、寂しい限りだ。

そんな寂しいファンに激震を走らせた者が、ネット上に登場した。

彼女の声を合成し、まるで宇多田ヒカル本人が歌っているように
曲を仕上げたのだ。

【人力VOCALOID×宇多田ヒカル】ココロ、と銘打たれた動画は、動画投稿サイト
『ニコニコ動 画(原宿)』に1月24日に投稿され、現在(2/7)で約40万再生もされている。

私も聴いた。
合成と知らされなかったら、本人か物真似のどちらかと間違える程、良い出来だ。

動画に寄せられているコメントも、絶賛するものが多い。

『YouTube』にも転載され、諸外国の視聴者からも驚きの声が上がっている。

更に、ビックサプライズ。

何と、宇多田ヒカル本人も視聴したらしく、ツイッターで感想をつぶやいた。

「よく出来てるね〜これ!制作者に拍手。
しかし、自分の顔を使ったコラ写真を見た時のような気持ち悪さが(笑」
(1月24日、宇多田ヒカルツイッターより)

普通のプロアーティストであれば、自分の声を無断で使用されたら、真っ先に動画の配信ストップをかける筈。

なのに、宇多田ヒカルはネットでの音楽制作、発表に理解を示した
新たな音楽の可能性を感じたのかも知れない。

声を楽器の一つと捉え、他の楽器を打ち込むように、歌も打ち込む。

このシステムが進化すれば、故人であっても、生前に吹き込んだサンプルがあれば、
いくらでも新曲が発表出来る。

実はこの手法、最近開発されたモノではない。

私が記憶している中で一番古いのは1995年、伝説のロックバンド、

Queenの『I was born to love you』か。

ボーカルのフレディ・マーキュリーの死後に発売されたアルバム、『Made In Heaven』に収録されている。

元々、フレディが1985年に個人で発表していた曲ではあるが、バンドのメンバーの手が
入り、 より重厚感溢れる曲になった。

当時、可憐な女子高生だった私は、衝撃を受けた。
曲や歌詞の素晴らしさは勿論のこと、故人でも新曲を発表出来ることに。

同時に、少し危機感も覚えた。
これではいつか、生きている人間が歌う意味が無くなるのでは、と。

そんなコトを考える私って、可愛かったねー。

あれから、16年。
可憐な女子高生は、ずうずうしい毒舌独女に成長

また、音声合成も成長し続けた。

2007年8月31日(ちなみに、私の誕生日)、クリプトン・フューチャー・メディ ア社から、
音声合成ソフト『VOCALOID2、初音ミク』が発売。

ソフトをキャラクター化することにより、爆発的大ヒット商品になった。

調整次第では、本当に人が歌っているかのように、滑らかに、ソフトに歌わせられる。
『初音ミク』などを使用したCDもリリースされている程、人間により近くなった。

更に、既成のソフトで飽き足らないユーザーは、自らソフトを作り上げる。
フリーソフト『UTAU』は、ユーザーが採取した音声を合成し、歌を作れるのだ。

無料といって、侮る無かれ

先に紹介した人力・宇多田ヒカルは、これか、もしくは同様のソフトで作成されている。

音声合成ソフトは、歌わせるだけでなく、喋らせることも可能
既に、実用化されている。

目が見えない人の為に、ウエブ上の記事を読み上げたり、ファイルを読み上げたりする
ソフトが、 随分前からある。

ちゃんと「SMAP」を「スマップ」と読める、優れモノ。

何でも出来る時代になった。
ドラえもんが夢ではなくなってきた。

可憐でなくなった私は思う。

これなら、台本を覚えなくても、打ち込みさえ出来れば、いくらでも講談が読めるのではないか。

歌手が口パクするように、高座で口パクが出来るのではないか、と。

ぐうたらな講談師は、そんな空想を膨らませた。  

(文=旭堂花鱗)
【 人力、宇多田ヒカル 】 への4件のコメント
  1. by ま 2011年2月13日 3:27 PM |

    別に「毒舌」ではないような・・・

  2. by 山のトム 2011年2月13日 3:44 PM |

    たしかに花鱗さんのおっしゃるとおり、「打ち込みさえ出来れば、いくらでも」「口パクが出来る」ことに、私も微かな抵抗感を覚える瞬間がちょいちょいあります。例えばPerfumeのPVを観た時とか。いくらでもこの歌手(というかダンサー)は交換可能だよね、何も彼女たちである必要ないじゃん、と・・・(Perfumeサン、ごめんなさい!振付は結構スキですよ)。でも私が真に求めているのは、自分たちと同じ生身の人間から生身の人間へと発信(伝導?)される「オーラ」「波動」のようなもの。もしくは動物的なエネルギーと言い換えてもいいかも。だからこそ、小さな小屋で催される演劇や、ライヴハウスなどにせっせと通うんですよね。

  3. by 旭堂花鱗 2011年2月13日 9:44 PM |


    ■ま 様
    コメントを有難うございます。
    書きたいことが沢山あって、文章を削りまくっていたら、今回は毒気がなくなりました。
    次回は、通常営業に戻ります。
    .

  4. by 旭堂花鱗 2011年2月13日 10:18 PM |


    ■山のトム 様
    コメントを有難うございます。
    音楽も舞踊も、神(自然)への祈りから発生していることを考えると、打ち込み音楽は、本来、邪道です。
    声まで打ち込みなんて、もってのほかでしょうね。
    ただ、祈りを捧げられるのを許された人間は、現代でもほんのわずかです。
    現代では、祈りではなく、「発表」と言い換えられますね。
    打ち込みにより、音楽の「発表」が許される人口が増えると、それだけ音楽の幅は広がります。
    粗悪品も多く出回るようになりますが。
    私は打ち込み音楽に抵抗はありません。
    VOCALOIDには、少し危機感を覚えました。
    それよりも、音楽が好きな人が増える可能性、新しい音楽の誕生の可能性の方が楽しみでなりません。
    入門編としては、打ち込み音楽、VOCALOIDは最適な道具だと感じています。
    判り易いので。
    伝統芸能の分野でも、VOCALIDというか、UTAUで謡を作り上げた人がいました。
    これで興味を持ってくれる若い人が増えたら良いなぁ、と思いながら観ました。
    ライブ論というか、舞台論(?)とPerfumeに関しては、また別の機会に。
    コメント欄に書くのは、難しいです。
    .

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