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【三十路と婚活】こんな男とデートしてみた~広告代理店営業マン/30歳の巻~

馬場です。三十路です。独身です。

マッチングアプリを駆使してきましたが、次の展開を期待できない男性ばかりとデートしています。

こりゃ、どげんかせんといかん!

ということで、馬場にアドバンテージがある男性と会うことにしました。

広告代理店営業マンS氏/30歳/年収800万

私学の雄・早●田大学商学部卒、汐留の広告代理店勤務、目黒区在住。

実は、S氏とは高校時代に1週間だけ付き合ったことがあります。

その時の別れの原因は、彼が差し出した飲みかけのフラペチーノを、同じストローで飲めなかったから。

要するに、間接キスができなかったから、つまり生理的にムリだったから。

でも馬場は、ずっとイモ男子S氏に申し訳ないことをしたと感じていました。

そんなある日、Facebookの余計な機能「知り合いかも」にS氏が出てきました。

あれから十数年……今なら彼と向き合えるかもしれないと感じ、思い切ってメッセージを送りました。

「お!馬場ちゃん、元気?覚えててくれてありがとう、久しぶりだね!」

今でも私を覚えていてくれたことに感動し、何日かメッセージのやりとりをしました。すると、

 

「せっかくだから、久しぶりにメシでも行かない?」

 

S氏からお誘いがキターーーーーーーーー!!!!!

ものすごく好感触!しかも、お店もS氏が予約してくれるみたい!

脳内では、小さな馬場たちが神輿を担いで小躍りし、春の到来を祝う祭が始まりました。しかし、馬場はクールかつ余裕綽々に「そうだね、ぜひ行きましょう」とだけ返信しました。

 

これはイケる気がする……じゃなくてイケる。

 

そう信じて疑わなかった馬場は、お気に入りのワンピースを着て当日のデートに臨みました。

S氏が予約してくれたお店は、入り組んだ路地の中にひっそりとありました。しかも、隣にはラブホ。

仕事で遅れるとS氏から連絡が入ったので、“まさか”の事態になっても慌てないよう、ビールを頼み一気に飲み干しました。

15分ほどしてS氏登場。

高校時代のイメージを180度ひっくり返したような、爽やか君になっていました。しかも、思っていたより身長は高いし、清潔感があって笑顔も可愛い。

乾杯をして、高校時代の思い出から大学でのこと、そして今の仕事について話しました。

話によると、S氏は業界最大手の代理店に就職するために、大学時代からインターンとして広告業界に身を置き頑張っていたとのこと。そして今、第一志望だった電●の営業マンになったのです。

 

神様、ありがとう。

 

脳内の小さな馬場たちは、喜びの涙を流しながら古今東西全ての神様に祈りを捧げました。同時に、高校時代の馬場の浅はかさを猛省しました。

すっかり目がハートになってしまった馬場はS氏のことがもっと知りたくなりました。

 

馬場「この前できた●●って場所、知ってる?」

S氏「あ!それ電●がプロモーションしたやつでさ!俺がクライアントをアテンドしてローンチしたんだけど(略)結果的にWIN-WINになったからよかったけどさ」

馬場「(ローンチってなんだっけ?)すごいね!じゃあ、お休みの日はゆっくりしないと体がもたないね」

S氏「いや、休みの日もマジシャンのマネージメントしてんだ。まーゆっくりもしてられないね」

馬場「マジシャン?!そっか、そうなんだね(なんか胡散臭いけど)……じゃあ趣味は?!」

S氏「特にないよ。でさ、この前××のクライアントを見つけたんだ。それはBtoBなんだけど、結局誰もコミットしないからゼロベースってことになって、(略)」

馬場「(ゼロベース……?)ふーん、そうなんだね」

S氏「今はどの業界もカニブレーションしてるから、プロをアサインしてショルダートゥショルダーでいかないとダメだよね」

馬場「(かにぶれ……蟹がブレている?)へ、へー……そうなんだ、ふーん」

 

ベラベライングリッシュよろしく業界用語の横文字が大量投下され、馬場の頭は混乱しました。

 

神様、もう少しだけ。

もう少しだけ、馬場にチャンスをください。

これは、絶対に負けられない戦いだから。

 

その願いも虚しく、どんな話題を振ってもS氏の仕事の話になるし、私に話題を振ってくることはありませんでした。

もしかしてS氏は、高校時代に自分を振った馬場に仕返しをしているのでしょうか。

ハイスペックになった自分に自信を持って、「馬場、ざまぁみろ!」と言いたかったのでしょうか。

S氏の本心は永遠に藪の中ですが、脳内の小さな馬場たちは戦いの敗北を認め、撤退の準備を始めていました。

そんな、業界の色に120%染まった元・イモ男子S氏は、業界人らしくタクシーチケットを使って一人帰路につきましたとさっ。

馬場チエコ

アラサーど真ん中の三十路独女。「東京独女スタイル」編集部で、結婚できる女になるべく日々奮闘中。2015年3月からスタートさせた婚活連載「三十路と婚活」は、1年4ヶ月後に彼氏ゲットという形で幕を下ろしました。電子書籍も出しちゃってます。

週に1回、婚活映画評論家・バーバラ馬場に変身する。

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