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【三十路と婚活】こんな男とデートしてみた~テレビ局員/31歳の巻~

三十路と婚活

馬場です。
目立った成果を出せていない、三十路の婚活ファイターです。
前回、イイ男はだいだい既婚者であると身をもって知り、すでにめげそうです。

そんな馬場を、男友だちが飲みに誘ってくれました。

テレビ局員T氏/31歳/年収1500万円

私学の雄・早●田大学社会学部卒、民放テレビ局勤務、目黒区在住

大学時代からの友人T氏は、馬場の独身仲間です。
ボーッとして見える外見に似合わず熱いハートを持った彼は、新卒でテレビ局に入社。いつの間にかハイスペック男子の仲間入りを果たしました。頻繁に飲みに行くような仲ではありませんが、会えば楽しく飲めるいい友人です。
ある日の夜、そんなT氏から突然電話がありました。

「もしもし、馬場ちゃん?今何してんの?」
「今?まだ仕事してるよ」
「マジ?ちょうど恵比寿で飲んでてさ~、1人でつまんないから来いよ!」
「じゃあ、1時間後に行くよ」
「30分で来い、30分で!じゃあな!」

半強制的に誘われた馬場。とはいえ、強引な感じも嫌いじゃないので、まんざらではありません。それに、婚活リハビリから復帰したばかりの病み上がりは、これくらい強引に誘ってもらわないと重~い腰を上げられません。そこで、ちゃちゃっと仕事を切り上げ、T氏の元へ向かいました。

30分後。馬場、現場に到着。
早速彼が待つお店のドアを開けました。前回は激務のせいでゲッソリし、負のオーラむんむんだったT氏。声を聞く限り元気そうでしたが、ちょっと心配です。若干緊張しながらお店のドアを開けると、「お!馬場ちゃ~ん!」と懐かしい声が。久しぶりに見たT氏に、馬場はびっくらこきました。

元気ハツラツか!

前回までの負のオーラは一切無く、お肌はツルッツル。さらに体格もガッチリして存在感を発揮していたため、薄暗い店内でもすぐに見つけることができました。このあまりの変貌ぶりに、別の緊張感に襲われた馬場はそそくさと着席。T氏の斜め前に座りました。すると、

フェロモン、ムンムンやんけ!

香水は付けていないはずなのに、何とも言えない色気というか、エロスというか……今まで感じたことのないヘンなものを感じたのです。急にT氏を男として見てしまった馬場の胸に、T氏のフェロモンが押し寄せてきたのです。

メーデー!メーデー!男のフェロモン接近中!
T
氏につながる「心のレインボーブリッジ」を封鎖せよ!

脳内にサイレンが響き渡り、小さな警部補・馬場は有事に対応すべく慌ただしく動き始めました。だって、このままでは10年以上かけて築き上げてきた友情を、一時の気の迷いでブチ壊すことになります。
そんなT氏、今年やっと希望の部署に異動し、忙しい日々を過ごしているそう。よほど毎日が充実しているのか、笑顔を絶やさず馬場の話に笑ってくれます。その一方、今は恋愛に気が回らないと言っておきながら、彼女というより結婚相手を募集中だそうです。大事なので、もう一度言います、

結婚相手を募集中だそうです。

あれ?それ馬場に言っちゃう?婚活中の馬場に言っちゃう?男性との出会いがないと嘆いたら「馬場ちゃん素敵なのに、なんで彼氏できないんだろうね」なんてリップサービスまでしてくれました。
ビールの酔いとT氏のフェロモンのせいで、心の警備態勢は一気に緩和。もう、「心のレインボーブリッジ」封鎖できません!

新しい出会いを求めて三千里。婚活をし過ぎたせいで、こんな身近に素敵な男性がいることを忘れていたようです。
これで馬場も、Love Somebodyできそうです。

やっと警戒態勢を解除する覚悟ができた時、T氏はおもむろにライターを取り出し、シュッとタバコに火をつけました。そして、気持ちよさそうに煙を吐きながら一言、

「オレ、女性の前じゃタバコ吸わないからさ」

あれ?私の記憶が確かならば、馬場も女のはず。この衝撃的な一言で思考がフリーズしましたが、今さら私を女として見るなんて難しいのでしょうか。
そう、T氏のフェロモンで判断能力を失った馬場は、10数年に渡り数多の失態を見せてきたことを忘れていたのです。あらゆるものをさらけ出しすぎた結果、彼にとって私はもはや女ではないようです。仕方ない……

そう認めようとした次の瞬間、無駄な正義感がムキーっと目覚めました。やっぱり許せない!

「ちょっとアンタ、マジで失礼でしょ!私だってなんですけどねぇ!ホンット、デリカシーがない!」

急に怒り狂った三十路の女を前に、T氏はびっくりするどころか「わりぃわりぃ」と笑って謝罪。しかし、そんな火に油を注ぐような彼の態度に馬場はさらに激昂し、マジなテンションで30分近く説教をしてしまいました。それでも、女としてのプライドが修復不可能。結局、飲み代も渡さず帰りました。

改めて、婚活で新たな人脈を広げることの重要性を感じた馬場は、再び心の警戒レベルをアップ。しばらくT氏間との「レインボーブリッジ」を封鎖する決定を下しました。

馬場チエコ

アラサーど真ん中の三十路独女。「東京独女スタイル」編集部で、結婚できる女になるべく日々奮闘中。2015年3月からスタートさせた婚活連載「三十路と婚活」は、1年4ヶ月後に彼氏ゲットという形で幕を下ろしました。電子書籍も出しちゃってます。

週に1回、婚活映画評論家・バーバラ馬場に変身する。

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