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砂漠でシンプルライフ@北メキシコ

北米先住民族のセレモニーの後、南カリフォルニアで海に近いアパートメントを借り、サーフィンの練習をしながら過ごし、秋口が近づく頃メキシコへ移動した。北メキシコに来た目的は二つ。一つは、水晶で出来ているという洞窟を訪ねること。もう一つは、メキシコ先住民族と彼らの薬草とそれを用いた伝統儀式。

砂漠の真ん中の村

2008年11月、北メキシコにある砂漠を目指した。旅の目的の一つである、先住民族が扱う薬草が自生する場所である。

道中出会った、道で手作りアクセサリーを売って旅を続けているメキシコ人の男の子とのご縁で、彼が住むという砂漠の中にある村に招待され、彼の家族と一緒に約1ヶ月をその村で過ごした。

その村は北メキシコの砂漠の真ん中にあり、10家族40人ほどが住む小さな小さな村、住所はなく地図に載らない村。

薬草が特に自生する場所として、有名な場所だったようだ。広大な砂漠の脇を走る一本の道路をひたすら進み、そこから道のない砂漠の中を進んでいく。

案内人がいなければ、行けない場所だった。思いがけず、この地に導かれた。旅の最中は、直感が冴えているのか、こういうことが少なからずあった。

予定は立てず、出会いと直感を信じて前へ進んでいく、これも旅の醍醐味だ。

シンプルな暮らし。

そこでの暮らしは、井戸水を汲み、薪を拾いに行き、薪で作ったご飯を食べ、畑を手伝い、メキシコの主食とうもろこしを調理し、砂漠を散歩し、自転車で砂漠を走り隣町まで買い物に行き、ハチの巣からはちみつを取り出し、家族で笑いあい、友と働き遊び、毎晩星空を眺め、ろうそくを灯す、そんな日々だった。

目当てだった薬草探しも毎日の日課だったが、それを超える面白さが、ここでの生活にあった。それがついつい長居をしてしまった理由でもある。

毎日のご飯は、メキシコの主食であるトルティージャ、豆とトマトライス、コーヒー、マカロニやじゃがいもが時々。ここでは、限られた食材でのシンプルな食生活。お世話になっていた家族のお母さんや娘さんたちが毎食作ってくれる。

よそ者の私にも、毎食あてがわれたのは、ありがたかった。それらは、毎日手作業で汲みに行く、おたまじゃくしの浮く薄茶色の井戸水で作られたトルティージャであり、真っ黒になってたかってくるハエたちが浮かぶスープ。

正直、最初は胃が受け付けなかったが、慣れというものなのか、日が経つごとにその食事も大地の味がして、おいしく感じるようになった。

拾ってきた薪火で焼かれる手作りトルティージャ。畑で作っているとうもろこしを、毎日、朝日が昇る頃に挽いて、お母さんと娘さんたちが変わりばんこで作る。作り方を教わってみるも、遅い、へたくそと笑われたりした。

簡単そうに見え、なかなか熟練の手つきが必要なのだ。肉厚で、エネルギー満タン、メキシコのマンマの味だ。

北メキシコの副見出しは、砂漠の音とリズム。

庭には、犬、鶏、豚、馬が飼われ、石造りの家の屋根にはソーラーパネルが付いていた。砂漠に咲く花たち、毎日出会うやぎたち。やぎのチーズを作ってる家族が居て、それを時々買ってみんなで食べた。

散歩にでかけ、パームの木になっている砂漠のフルーツを石で落として食べる。シャワーなんてもちろんなくて、井戸水を使って顔を洗う程度。ときどき隣村の家までシャワーを借りに自転車を走らせる。絵に描いたような自給自足生活。

電線は通ってないので、太陽発電と乾電池の生活。夜は日が沈むとろうそくの灯り。数字を刻む時計とではなく、太陽と月が刻むリズムを感じる生活。野生の勘のようなものが研がれて行くように感じた。

第六感が冴え、自然や万物と自分とがしっかり繋がる感覚があった。シンプルでノイズの少ない生活、身体とこころの感度が上がり、空と大地が紡ぐ音を感じ、風の声、木々の声がよく聞こえるように感じた。

丘の上にあった小さな教会、夕方になるとそこへ行き、夕焼けと広大な砂漠を眺めた。一番星が輝きだすと、空が鮮やかなピンク、藍色、紫色に変わっていく。

毎日の楽しみだった、美しい夕焼けと満天の星空。そこには、何の物音もない静けさが広がる。こんなに静かな場所に、生まれて初めて来たと思った。平安という言葉が浮かんだ。

砂漠は、静けさを教えてくれた。さざなみ一つたたない。その静けさは、こころの静けさを感じることを教えてくれた。内なる平安であった。かの地に探し求めていた楽園は、こころの内にあったのだと思った。

ここにあったのは、自然と共にあるシンプルで平和な生活。今ここにあるもので満足し、工夫している。シンプルな暮らしは、とても創造的だった。大切なものは何なのか、教えてもらった。

プロフィール
Name:高崎 咲耶子
美大卒業後、広告制作会社グラフィックデザイナー職勤務。退職後、バックパックで世界放浪の一人旅へ。世界の聖地、コミュニティ、レイブパーティー、ナチュラルメディスン、シャーマニズムを数年かけて追いながら、オルタナティブな生き方を模索。旅の最後の場所はアマゾン、シャーマンと共にアマゾンに伝わる幻覚植物を使った伝統治療を受ける。2010年南米から帰国。現在は、農家で自然と共に働きながら、有機無農薬米作りに関わる。ベリーダンススクールへ通い、ベジタリアン、ヨガ、マクロ、、、オーガニックでシンプルな暮らしを実践中。
行雲流水-咲耶子sayacoの世界放浪旅日記<北中南米アマゾン編>

(文=編集部)

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