北米先住民による子宮回帰の儀式@アメリカ合衆国

2006年3月、Gデザイナーとして5年間勤めた広告制作会社を辞め、貯金とパスポートとガイドブック、テントと寝袋、生活用具を75Lのバックパックに詰め、念願だった無期限世界放浪の旅へ出た。

退職1週間後にはトルコへ飛び、皆既日食を見た。3ヶ月往復で買ったチケットの復路を捨て、中東・北アフリカ・ヨーロッパ・南米を旅し、南米から一時帰国したのは1年2ヶ月後。

一時帰国中に旅していた日本で知り合った方たちとのご縁で、北米先住民の儀式へ参加させていただけることになり、2008年6月、バックパックに再び荷物を詰めた。また旅をするのか、このまま日本に居るのか、宙ぶらりんな時に、背中を押された。次なる旅の地は、アメリカ大陸。北米から前回帰国した南米までを繋ぐ、北中南米旅の始まりだった。

旅の始まり

北中南米の旅の目的は、北中南米の先住民族を訪ねること、彼らの古来からの薬草を使った儀式に参加すること、北中南米にいまだあるシャーマニズムと伝統治療、そこにある古来からの知恵と教えを追うこと。

前回の旅で、アマゾンに伝わる薬草のセレモニーに参加したことが、ここへ向かうきっかけでもあった。

2008年6月下旬、アメリカ合衆国に飛んだ。旅の最初の目的は、北米先住民族の儀式サンダンス。

先住民族が大事にしている聖地、アリゾナ州にあるビッグマウンテンで行われた。ここは、広島に落とされた原爆のウランが採掘された場所でもあり、日本人参加者が居たことからも、そこへ向けた癒しの儀式でもあったようだ。

私自身は、サンダンスのお手伝いをしながら、スウェットロッジと呼ばれる儀式に、毎朝夕と参加させていただいた。

先住民族の儀式<Sweat Loadge・スウェットロッジ>

北米先住民族の儀式の一つ、スウェットロッジ。癒しと浄化の儀式で、ロッジを子宮と見立てたスピリチュアルサウナだ。子宮回帰とも呼ばれ、今では日本を含む世界各地で行われている。

何重にも毛布が重ねられた半円形のドームの中に輪になって座り、中央に運ばれる焼けた石とそこに注がれる水から出る熱い蒸気で蒸される。ドーム内には灯りはなく、唯一見えるものは焼けた石の赤さだけ。

終わった後は、浄化されたことを強く感じ、まさにお母さんのお腹から出た瞬間のような純粋な状態になるのが云われ。今回のサンダンスでも、儀式の参加者の浄化のために、朝晩とスウェットロッジセレモニーが行われた。

特別な儀式の準備としてのスウェットロッジは、心身の浄化の意味合いが濃く、とても暑く過酷だ。今回のスウェットもそうだった。隙間のないドーム内に石が積まれるだけで、すでにすごい熱さ。

石に水がくべられるたびに、熱波が耳の穴の奥まで襲ってきて、すさまじく熱い蒸気が身体をびっしりと覆ってくる。息を吐くだけで、熱波になり、息を吸うのもためらわれる。

熱さのために、地面に伏す人たちもいる。自分のこころに集中し、襲ってくる熱波と暗闇と恐れと闘う。恐怖が顔を出した瞬間、ロッジから飛び出すことになる。吹き出る汗と共に、身体ばかりでなくこころからも要らないものが出て行く。

中では、お祈りをしたり、話をシェアしたり、みんなで歌を歌ったりした。メディスンマン(シャーマン、医者)がカウンセラー役となって、歓びはみんなで倍に、悲しみはみんなで半分に。そんなシェア・分かち合いの印象を受けた。

初めは聞いているだけだったが、回を追うにつれいくつかの曲を自然と覚えた。どの歌も力強さと優しくさを感じるいい歌だった。

毎朝夕と、スウェットロッジの儀式に参加させていただいた。スウェットが終わった後は、身体も気持ちもとてもすっきりとして、心地よかった。

毎回、この暑さと暗闇を乗り越えられたことで、また一つ強くなれたように思った。浄化、まさに子宮(スウェットロッジ)の中で生まれ変わっていく感じ。自身とそこでの参加者に癒しと浄化が起こり、それが広がって行くことを感じた。

浄化されることで、クリアな身体とこころが保たれる。普段の生活で気をつけているつもりでも、やはり、身体にもこころにもいろいろ溜まる。そういうものを、定期的にみんなで集まって浄化できることは、すごくいい。

先住民族の教え<Mitakuye Oyas'in ・ミタクエオヤシン>

儀式を通して、大いなるものに繋がって生きること、繋がりの中に生きていることを感覚的に取り戻している気がした。

感じていたことは、いつも自分と共にあるもの、自然、大いなるもの、万物に宿る精霊、産み育ててくれた父母、いのちの営みを与えてくれている父なる空と母なる大地、私に繋がる全てのものへの感謝。

スウェットロッジに出入りする時に、頭を地面に伏して出入りする。その時に唱えていた言葉がある、"Mitakuye Oyas'in (ミタクエオヤシン)"。

意味は、私に繋がる全てのものへ。北米先住民族は、7世代先のことを考えて物事を決めると言う。サンダンスやスウェットロッジでさんざん言われたことは、help each other、共に助け合うこと。

彼らが歩んできた、これからも歩んで行こうとしている道、先住民族の肌の色(赤)にちなんで、レッドロードと呼ばれている。生きとし生けるもの全てと共に歩む道。

彼らの知恵と思想と生き方、闘いや搾取ではなく分かち合う調和の道。一つの命としてみなで生きていくために、これからの時代に、ほんとうに必要だと思う。

プロフィール
Name:高崎 咲耶子
美大卒業後、広告制作会社グラフィックデザイナー職勤務。退職後、バックパックで世界放浪の一人旅へ。世界の聖地、コミュニティ、レイブパーティー、ナチュラルメディスン、シャーマニズムを数年かけて追いながら、オルタナティブな生き方を模索。旅の最後の場所はアマゾン、シャーマンと共にアマゾンに伝わる幻覚植物を使った伝統治療を受ける。2010年南米から帰国。現在は、農家で自然と共に働きながら、有機無農薬米作りに関わる。ベリーダンススクールへ通い、ベジタリアン、ヨガ、マクロ、、、オーガニックでシンプルな暮らしを実践中。
行雲流水-咲耶子sayacoの世界放浪旅日記<北中南米アマゾン編>
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