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【彼女になれない女】いつもセフレで終わるのはナゼ?ノリの良さが仇になる

下田サトミ、29歳。IT企業事務。趣味はお酒をのむことで、彼氏いない歴は3年。彼氏はいなかったけれど、この3年間で男が絶えた日はほとんどない。

そう、つまり皆「セフレ」で終わってしまうのだ。

自分としては本気で付き合ってもいいと思ってたし、だから体を許したんだし。相手も、多分私と居て楽しかったと思う。

でも、付き合うまでに至らなかったのは、一体なぜなんだろう……。

ノリのキスで芽生えた恋心

なかでも一番好きだったのは、2年前によく会っていたモトキ。

モトキは飲み会で知り合った1つ上の男で、仕事は大手セレクトショップのバイヤーをしていた。

出会って3年くらいは、たまに飲みに行く友達のひとりで。集まりで偶然顔を合わすことも多かった。

初めはなんにも思ってなかったけど、顔は好きなほうだなって、なんとなく。

働く業界の全く違うモトキの話は、いつも興味深かった。私もファッションは好きだし、モトキの会社のショップを利用することもあった。

どんなふうに服を買い付けて、どうやって売っていくのか。知らない世界を覗くことができて、刺激的。

ある日、いつもの集まりで酔っぱらってみんなで王様ゲームをしたとき、バツでモトキとマスクごしのキスをした。

モトキはちょっと困ったように笑っていたが、初めて近くで見たその顔を、もっと見ていたいと思ってしまった。

キスに込めた自分の想い

いつしか私は、モトキと二人で約束をして飲みに行くようになっていった。1つ年上ではあるけれど、気を使わせないモトキは一緒にいてちっとも飽きない。

ある日、モトキの家の近くのバルで飲んでいた時の事。

すっかり終電をなくしてしまった私は、モトキと始発まで飲む気満々だった。

「この後、前行きたいって言ってたバー行きたいんだけど!カラオケのあるとこ」

「サトミ、悪いんだけどさ、俺明日早いんだよね」

「えー!明日土曜日だよ?」

「うん、そうなんだけど。友だちと約束しててさ」

「でも私、もう終電ないよ……」

「そうだよなー。じゃあ、うち泊まれば?」

「え?モトキんち?」

 

モトキはいたって冷静に前を見つめてグラスを傾ける。

最初は戸惑った私だったが、彼に恋心を抱き始めていたので「もしかしたら何かあるかも……」と、お言葉に甘えることにした。

***

予想通り、私たちは男女の関係になった。というか、私からモトキにキスをした。彼は拒まなかった。元々その気があったのかわからないけれど、私がきっかけをつくらなければ何もなかったようにも思える。

ただ、私は自分の気持ちが少しでも伝わればいいな、と自分から行動を起こしたのだ。

居心地のいい関係

 

そしてその夜から、モトキと遊んだら必ずと言っていいほど彼の部屋に泊まっていた。お店に行くだけでなく、部屋で2人で飲むことも増えた。

会えば会うほど、彼に惹かれていく私。

けれど「好きだ」とか「付き合おう」とか、私からは言わない。

「好き」だとバレてしまえば、都合のいい女になってしまうと思ったからだ。

 

一緒に居て楽しいし、きっとモトキだって同じなはず。仕事で海外へ行っていても、帰ったら必ず連絡をくれて、私はいの一番に会いに行く。

モトキが辛い時や元気がなさそうな時は、いつもそばにいてあげられている自信もある。

どちらもハッキリとはいわないけれど、私たち、ほとんど付き合ってるみたいなものだよね!?

それにこの前同僚のミカが、セフレと付き合う事になったって言ってたし。そういう恋愛の始まり方だってきっとあるはず。

むしろこの歳になると、多くなってくるらしい。

私は、モトキがいつか「付き合おう」と言ってくれることを期待して、彼との関係をつづけた。

しかしある日、元々モトキらと遊んでいたメンバーの女子のひとりと飲んでいた時の事。

「この前、いつもいく店の前でモトキがユウカと手つないで歩いてたよ。あいつら付き合い始めたらしいね」

「え!?」

ユウカとは、モトキと私含むよく遊んだり飲んだりするメンバーのひとりで、小柄で可愛らしくて女の子っぽい、いわゆる普通の子。

情報をくれた彼女いわく、もう何ヶ月も前からモトキから彼女にアプローチしていたけれど、なかなか振り向いてもらえなかったそう。

しかし、諦めないモトキにとうとう彼女が折れんだとか。

「えー……(笑)。あの二人、あんま似合ってなくない?」

私はそう答えることで動揺を隠したが、内心は悲しさと怒りとでぐちゃぐちゃになっていた。

私はただのセフレだったの?

なんで私じゃなくて彼女なの?

私といるほうが、ぜったい楽しいはずなのに。

それに、私のほうがモトキと会っていたはずなのに。

好きバレは都合のいい女の始まりではない

「サトミ、なんで泣いてるの?」

次の日のランチ時、ミカを前にして私はとうとう涙をながしてしまった。

一連の出来事を彼女に話すと、ミカが「なるほど」と答える。

「なにがなるほど?」

「サトミ、前の人も前の前の人もセフレで終わってたよね?」

「たしかに、そうだったね……」

「サトミは『本気で好き』でも、それが相手に伝わりにくいんだよ。ただでさえ男は言葉にしなきゃわからないんだから」

「どういうこと?」

ミカいわく、私は周りから「ノリがいい」と思われているらしい。たしかに、飲みにも積極的に参加するし、王様ゲームだってなんだって抵抗はない。

その場の空気を壊すことは絶対にしないと思う。

「だからセックスだって、好きじゃなくてもできるのでは?って思われてるんだよ。お酒好きな子って『その日その時楽しければいい』って印象あるし」

「そんなこと……」

「もちろん、サトミがそんな軽い女じゃないって私は知ってるよ。でも、ノリがいいからこそ、相手に『自分の事は別に本気じゃないんじゃないか?』って思われちゃってるんじゃないかな」

「じゃあ、好きって言えばよかったの?自分から“好き好きオーラ”を出しすぎるほうが、都合のいい女になっちゃいそうじゃない?」

「好き好きオーラ出したっていいんだって。その上で、相手の都合のいい女にならないよう気を付けることはできるはずだよ」

***

ミカは、元セフレであった今の彼に告白をされた。

彼の事は、元々ミカの方がずっと好きだったらしく、相手にも「好き」と伝えていた。

だけど、呼ばれても断る日があったり、他の男とも飲みに行ったり「彼の手のひらに収まる」ようなことは避けてきたそうだ。

「多分彼は、私を自分のモノにしたくなったんだと思う」

そういったミカに少しだけ嫉妬したが、同時に私がいつもセフレで終わる理由が納得できた。

 

私たちノリがいい女子は、相手にまず「本気である」ことを伝えなくてはならない。そこから恋愛がスタートするといっても過言ではない。

次に好きな人ができたら、勇気を出して気持ちを伝えることから始めてみようかな。

飯田クール
飯田クール

1989年3月生まれ、フリーライター兼エディター。いわゆる「サバサバ系女子」で、人間の恋愛の悩みを白か黒でズバッと切る。座右の銘は「やられるまえにやれ」。

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