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【涙活】3分で泣ける実話ショートストーリー「母のお弁当エール」

「お弁当ちゃんと持った?」

遅刻しそうになって家の中をばたばた走りまわる私にお母さんが言う。

「ちゃんと持ったよ。いってきまーす」と少しふてくされた声で返して家を出る。

高校生になり、お昼はお弁当を持っていくようになった。

キティちゃんのアルミのお弁当箱はお母さんからのおさがりで、野菜炒めと甘い卵焼きとブロッコリーが定番のおかず。

お母さんの料理は味が濃いので、卵焼きはとびきり甘くて、野菜炒めはとびきりしょっぱかった。

私はお母さんが作ってくれるお弁当が嬉しくて、毎日お昼が楽しみになった。

高校にも慣れてきて、あれほど嬉しかったお弁当が「あたりまえ」になってきた頃、私は購買でお昼を買いたくなった。

 

「お昼は購買でパンを買うから、お弁当はいらない」と言ったときのお母さんの悲しそうな目の色は今でも覚えていて、その日購買で買ったパンは美味しいはずなのに美味しくなかった。


高校2年生になって、ささいなことがきっかけで仲間はずれにされるようになった。

私はいじめられている自分が恥ずかしくて、お母さんに言いだせなかった。

毎日、今日こそは今日こそはと仲間外れが終わることを祈りながら通った。

ある日お弁当の包みをあけると、小さな手紙が入っていた。そこには丸い字で、「お母さんはもえかが大好きです」とひとこと書いてあった。

 

お母さんは気づいていたのだ。私は手紙を丁寧に小さく折りたたんでポッケに入れ、泣きながらお弁当を食べた。涙が次から次へと出た。お母さんの味付けは相変わらず濃くて、いつもよりもっとしょっぱかった。

 

その日からお弁当に小さな手紙が添えられるようになった。


「今日は卵焼きが上手に出来たよ」

「今日はケーキ買って帰るね」

「いつも心はそばにいるよ」

私は手紙を何度も読み返しながら、お母さんの気持ちのこもった味の濃いお弁当を食べた。

仲間外れは長く続いた。それでも不登校にならずに頑張れたのはお母さんのお弁当と手紙があったからだと思う。

高校の卒業式の日に、「3年間おいしいお弁当を作ってくれてありがとう」と言ったら、「つらくても頑張るもえかにお弁当を作ることぐらいしかお母さんには出来ないから、毎日笑顔になってもらいたくて頑張って作ったんだ」と言われた。

 

高校最後の日のお弁当もおかずは定番の3品で、やっぱり卵焼きはとびきり甘くて、野菜炒めはとびきりしょっぱかった。 

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